転職を成功させるためにやっておくべき3つのこと
近年、転職者は増加傾向にありますが、40代の特に男性は求人率が低く、転職で成功するのはなかなか難しいのが現実です。今回はそんな40代男性が転職を成功させるために、具体的な転職活動を開始する前にやっておくべきことについて紹介します。
転職をめぐる近年の動向
かつては1度就職したら、定年になるまでその企業に在籍し、年功序列で昇給や出世を重ねていくというのが働く日本人、特に男性の働き方とされていた時代もありましたが、社会情勢の変化や働き方の意識改革等によって、転職することはもはや珍しいことではありません。
社会人としての研修が必要な新卒者よりもある程度の社会経験やスキルを身に着けた30代以降の人材を中途採用した方が効率的と考える企業や事業所も増えているようですし、転職者の能力が高く評価されやすい社会情勢になっているようです。
株式会社マイナビが2022年10月に発表した「転職活動における特性調査2022年版」によると、正社員の転職率は2020年にコロナ禍の影響のせいか一度減少するものの、総じて2016年から増加傾向にあり、2021年には過去6年間で最も高くなっています。
今回は一般に転職が難しくなってくると言われがちな40代男性の転職に注目してみましょう。厚生労働省から発表された令和3年上半期雇用動向調査結果の年代別、性別の転職入職率(事業所が採用した者のうち、その事業所の前に1年間の就業経験がある者の割合)をみると、確かに40代後半から50代前半の男性の転職率は低くなっています。
40代男性の転職が難しいと言われる理由
なぜ40代男性の転職が難しいと言われるのか、それは企業や事業所が出す40代の求人が人数、職種共に20代30代のそれと比べてかなり少ない傾向にあるからです。また厚生労働省から発表された令和3年上半期雇用動向調査結果を参照すると同じ40代でも女性の方が転職率が高いことが分かります。
40代での転職で成功したいと考えるのであれば、まずは40代男性の転職が難しいとされる理由を考えましょう。その理由や原因に対策できれば、40代男性であっても満足できる転職を実現できる可能性は高まります。
企業や事業所が転職者を採用するメリット
まずは採用する側からの視点で考えてみましょう。企業や事業所にとって、転職者を受け入れることのメリットはその転職者の社会的経験、職務上のスキルを活かしてもらうことで、業務に対する即戦力を得ることです。
新卒者を採用した場合、仕事のスキルを身に着けさせるための研修を行ったり、指導者を付けるなど、人材育成のための経費や新卒者が業務に貢献するまでの時間的な負担は企業や事業所にとって小さいものではありません。
それに対して30代や40代の転職者は前職の職種や職務内容が同じであればすぐに職務に従事することが可能ですし、異業種からの転職者であっても社会的常識やマナーについてはある程度身についていることを前提に、研修内容も業務に即したものに限ることができます。
特に40代の転職者となると、前職までに培ってきた経験や社会的対応力を活かして、先輩社会人として、若年層にもよい影響を与え、職場で大いに活躍することを期待する企業や事業所は少なくないでしょう。
企業や事業所が40代転職者を採用する際の懸念
一方で、企業や事業所からみて40代の特に男性の転職者を受け入れた際の懸念事項としては、年長者であるが故のプライドが邪魔をして20代や30代の“職歴上の先輩”の指導を受けることができるのか、前職とは異なるルールや慣習になじみにくいのではないか、体力的な衰えが始まっていく40代男性がどれだけ自身の能力を発揮し続けることができるのか、などといったことがあるでしょう。
40代男性が若年層と比べ知識やスキル、社会的経験が豊富であり、研修や新人教育の時間が少なくすんだとしても、職場の人間関係が悪化すれば業績の悪化につながり兼ねません。転職者を採用した結果同じ職場で離職者が増えれば、転職者採用の意味はなくなります。
また転職者の体調問題等によって長期的な在職が難しかったり、仕事を休みがちとなれば、人員不足による業務の滞りが生じてしまい、企業や事業所も求人をためらってしまうでしょう。
以上のような懸念事項は30代にもあてはまったり、また同じ40代女性にももちろん当てはまりますが、40代男性はそのような懸念に一番当てはまりやすく、その結果40代男性の転職者の求人は少なくなってしまうのではないでしょうか。

転職を考え始めた40代男性がやっておくべきこと
転職が難しいのではないかとされる40代男性が転職して、前職よりもよい状況下で働き続けるためにやるべきことは数多くあるでしょうが、まずは具体的な転職活動を始める前にやっておくべきことを紹介します。
①自分のライフプランをより具体的に考える
40代男性が転職を考える上で若年層の転職者と大きく違う点は、社会人として20数年過ごしてきた中での経験等を活かして、ある程度実状に即したライフプランを考えられることでしょう。自分が何を一番大切にしたいのか、自分が一番したいことは何か、より具体的なプランを書き出してみてください。
例えば自分のこれからの人生の中で優先したいのは仕事なのか家族のことなのか自分自身の趣味なのかなどといったことからはじめて、それぞれに何をいつまで、どういった形で実現するかという詳細なプランを作ってみましょう。
具体的なライフプランができれば、それを実現化する手段の1つとして「転職条件」が明確になるはずです。自分の能力が一番活かせる職種や業務内容はなにか、給与や職場的地位、勤務時間帯、勤務形態等勤務条件に期待するものは何かなど、自分が希望することを自身でしっかり把握しないと自分にあった転職先は選択できませんし、転職を成功させることはできません。
➁40代だからこそのアピールポイントを考える
企業や事業所が40代転職者に一番に求めるものは、新卒者や若年層の転職者からは得られない長期間にわたって培われた技術的スキルや社会対応能力です。同業種に転職する場合は20年以上の職歴の中で得た資格やスキル、人脈が大きな武器になります。
特に資格については、異業種に転職を考える場合でも、資格を持っていれば、自身の業務について勉強を重ね、熱心に取り組んでいたというアピールになり、転職採用時の高い評価につながるでしょう。
人材育成が大きな課題となっている企業や事業所が増えている昨今、業務に直接関係がなくても、コミュニケーション能力やマネジメントスキルに関する資格は大きなアピールポイントになっているようです。
より有利な条件で転職し、転職後も経験や知識豊富な人材として企業や事業所の業務に貢献していくためにも、職務経験を重ねてきた40代男性だからこその自身のアピールポイントを明確化し、転職採用時の面接などで活用しましょう。
③転職先の勤務条件をできるだけ多く仕入れる
どの年代にもかかわらず、初めての就職でも転職においても、勤務先の勤務条件を把握することは大事です。しかし40代だからこそ注目しておくべき勤務条件というものがあります。
まずは給与です。若いころと違って40代男性は、自分だけでなく家族のために使わなければならない金額や貯金しておかなければならない金額がかなりシビアではないでしょうか。自分のやりたいことだけを考えて転職した結果、給与が下がって家族に迷惑がかかってしまっては転職に成功したとは言えません。
基本給与だけでなく、時間外や休日出勤の手当の条件や昇給に関すること、資格に関する手当のこと、賞与の回数、退職金に関することなど、お金に関することについては可能な限りの情報を入手するよう努力しましょう。
また、残業・出張・転勤の頻度は体力的な衰えが出始める40代男性にとっては大きな問題になるでしょうし、病気療養休暇や介護休暇の有無も20代30代のころよりは重要なポイントと考えてください。給与が高かったり希望の職種であったとしても体を壊しては元も子もありません。
企業や事業所のホームページやパンフレットだけで見えてこない条件もありますが、近年インタ―ネットで簡単にアクセスできる転職サイトでは、企業や事業所が発信する情報だけでなく、現職や以前その職場で働いていた人たちから提供される情報も多くありますので、活用してみてはいかがでしょうか。『転職をするなら口コミをチェック!』では、転職先候補の情報を口コミから収集する場合のポイントをまとめていますので、こちらもチェックしてみてください。
まとめ
40代男性の転職について、エントリーシートの提出や面接など具体的な転職活動の前にやっておくべきことを紹介しました。20代30代の転職者と違って、40代の男性は転職するチャンスが何度もあるわけではなく、転職に関して言えば「やり直し」が難しい年代です。だからこそ転職を考える場合は、自分のライフプランやアピールポイントを再度見直し、転職先の情報をできるだけ多く把握して、20年以上職務経験のある40代男性だからこそ、自分の意にかなった転職を成功させてください。