「職場の人間関係に耐えられない」「今の仕事では未来が見えない」そう思って漠然と転職を意識したものの、やりたいことが明確でなく、どの職種や業界を選べばいいかわからない人は多いものです。
そもそも未経験では応募すら通らない仕事が多いのは事実です。新卒採用市場では応募者の「将来性」「ポテンシャル」を重視するのに対し、転職市場では応募者の「即戦力」「再現性」が求められます。
しかし、未経験でも前職や今までの経験を活かし、企業に貢献し、活躍しやすい職種が存在します。そこでここでは、未経験でも採用されやすい職種3選として、転職先の職種・業界を決めるためのヒントを紹介します。
営業職
商品はそれを売ってくれる営業がいなければいつまでも売れません。あらゆる企業にとって営業はなくてはならない職種のため求人が多くあります。MR、金融系、技術系などは経験や専門知識が求められるため未経験での転職は難しくなりますが、それ以外の業界であれば転職のチャンスがあるでしょう。
営業職に向いている人
営業職に向いている人はどんな人でしょうか?求められる能力は「行動力」「傾聴力」「調整力」です。営業において必要なのは特別なスキルではなくマインドです。あなたが前職で培ったこれらの能力をアピールすることで採用されやすくもなるでしょう。では、具体的にどういった能力なのか見ていきましょう。
行動力
営業において最も必要なこと、それはとにかくお客様とコミュニケーションをとって関係性を築くことです。そのために行動件数を積み上げることは営業する上での重要なスキルです。会社のデスクでアイデアや仮説を立てるだけでは営業としての役割を果たしているとは言えません。
私は昔百貨店でお酒売り場の店長をしており、いろんな酒メーカーの営業が店に来ていました。
「前の担当者はまめに連絡をくれていたけど、担当が変わってから連絡がこなくなったな」ということはよくありました。
お客様は自分のことを気にかけてくれていると感じる営業に情がいくものです。昔は「とにかく訪問しろ、足しげく通え」といった根性論がありましたが、今ではコミュニケーションをとるツールは訪問だけではありません。電話、メール、チャット、オンライン会議ツール等、顧客と連絡をとる手段はたくさんあり、訪問以外にもお客様とコミュニケーションをとる手段はたくさんあります。
あなたが前職で販売職をしていたなら「顧客に来店促進の電話販促をしていた」「来店顧客にサンキューレターを送っていた」といった経験は営業にも使える行動力のスキルです。こういった経験を積極的に面接などでもアピールすることで、営業としても再現性があると評価されることでしょう。
傾聴力
傾聴力とはただ話を聞く力ではありません。お客様の話を聞く中で、気持ちをくみ取り、理解し、ニーズを引き出す力です。傾聴ができる人は、話したことを要約し、話した人間ですら気づいていなかった自己理解を深めてくれます。
お客様の潜在的なニーズを理解することで自社の商品を紹介しやすくなります。もしもその時は自社商品がお客様の要望に見合う商品がなかったとしても、自己を理解してくれたあなたへの信頼はぐっと強くなるものでしょう。
調整力
営業において、無理を言ってくるお客様というのは少なからずいるものです。何をどの程度できるのか、いくらの価格でできるのか、自身で主導権を握って交渉できる人は仕事をスムーズにすすめられます。
お客様の要望を会社に持ち帰ったとき、「それじゃ出来ないよ」となることが営業では多々あります。そうならないために、「出来る」「出来ない」のラインを明確に持って交渉する力が求められるでしょう。
営業職の平均年収
営業職の平均年収は435万円です。MR(713万円)、投資信託(566万円)、医療機器(563万円)といった専門性の高い職種ほど高くなる傾向にあるようです。一番低い福祉/介護関連で356万円と、職種によって年収にバラつきがあります。
IT技術職
コロナ禍により、企業が既存業務をITで効率化する流れが加速しています。IT業界は需要が増え続けているので、未経験OKの求人が多くあります。IT技術職は汎用的なスキルが身につくので、ステップアップするために転職や独立をして更なる収入アップや活躍が見込める職種でもあります。
IT技術職に向いている人
IT技術職に向いている人はどんな人でしょうか?求められる能力は「継続力」「コミュニケーション力」です。どんなことにも諦めずに続けていく力をアピールできれば、転職市場でも採用されやすくなるでしょう。
継続力
IT技術職としてやっていくには、プログラミング言語をはじめ、勉強することが多くあります。実際にエンジニアとして転職するためにスクールに通う人は多くいますが、必要な知識やスキルは現場に行かなければわかりません。
スクールで勉強したことがほとんど役に立たなかった、ということもざらにあります。しかし、未経験採用をしている企業は最初から即戦力を求めているわけではありません。企業で技術職として仕事をする場合、ひとつのプロジェクトのためにたくさんのタスクをこなすことになります。その中で、簡単なタスクから任されていき、慣れてくれば次のタスクを任される、といったことがほとんどです。
大事なのは勉強し続けるということです。周囲とのスキルの差に落胆せず、自分のできるレベルからコツコツと学んでいくことで、いつの間にかできるタスクの範囲が増えていくものです。何事にも諦めず継続して勉強し続けられる人は、IT技術職に向いていると言えるでしょう。
コミュニケーション力
IT技術職というとパソコンにずっと向き合っている職業と捉えがちですが、未経験であれば特にコミュニケーション力は重要になってきます。とにかくわからないことは聞く。出来ないことは出来ないと言う。それだけで上達のスピードは格段に変わってきます。
ITエンジニアの平均年収
IT技術職の平均年収は438万円です。一口にIT技術職といってもさまざまな職種があり、1位はプロジェクトマネジャー(671万円)、2位がプリセールス(630万円)、3位がITコンサルタント(585万円)とあり、幅広い知識が必要な職種ほど年収が高くなります。
販売/サービス職
販売/サービスといっても扱う商品はさまざまあります。小売、飲食のほか、ホテルスタッフやインストラクターなども含まれます。これらの職種はお客様個人と接するため直接感謝の言葉をもらいやすく、やりがいを感じやすい職種でもあります。土日休みでないなどの理由から離職率が高く、慢性的な人手不足である職場も多く、未経験でも採用されやすいのが特徴です。適性が誰にでもないというのが特徴で、向いている人向いていない人が明確に出る職業ともいえます。
販売/サービス職に向いている人
販売/サービス職に就く上で向いている人はどんな人でしょうか?求められる能力は「コミュニケーション力」「目標達成力」です。販売は個人の力ではなく、チームで売上などの目標に向かって努力する姿が求められます。
コミュニケーション力
販売/サービスというと、お客様とのコミュニケーションが主だと思いがちですが、店舗の仲間などとのコミュニケーションも求められます。メンバーのそれぞれの性格や仕事への取り組み方は同じでないことを理解し、円滑なコミュニケーションをすることが求められます。もちろんお客様のニーズを引き出す力も求められます。こういったコミュニケーションが苦にならない人は、販売に向いていると言えるでしょう。
目標達成力
売上目標、接客人数目標、契約数目標など、数字での成果が特に求められる職種です。はじめは目標が高すぎて精神的に参ってしまうこともあるでしょう。しかしどんな時も目標に向かって諦めず、常に改善をしていく姿勢が必要です。
前職でもなにか目標に向かってやり遂げたことをアピールできれば、販売の世界でも再現性があると認められることでしょう。
販売職の平均年収
「販売/サービス系」の平均年収は324万円です。1位は「マーチャンダイザー」(477万円)です。続く2位が「バイヤー/ディストリビューター」(454万円)、3位は「店舗開発/FC開発」(451万円)です。
まずは販売スタッフから始まり、店長を経験し、その上にあがっていくと上記の収入が目指せるようになります。キャリアアップへの道が明確にあることも販売職の魅力的なところです。
まとめ
未経験でも転職しやすい3選を紹介しました。転職しやすいといっても、働いている人達はプロです。コミュニケーション能力だったり、相手の気持ちを察する能力を長けている人のみ残る業種ともいえます。
まだ自分がどんな職種に転職すべきなのかを迷われている方は、一度専門の転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。『転職エージェントの比較』では、各転職エージェントの得意分野などをご紹介していますので、興味のある方はご参照ください。
