転職を考える場合、重要視しなければいけない大きな要素のひとつが「転職の時期」。いつから転職活動を始めるかによって、転職活動の難易度は大きく変わってきます。本記事では4度の転職経験と採用担当の経験を持つ筆者が、有利に転職活動を行なうために必要な転職時期についての知識を皆さんにお伝えしていきます。
『おすすめな転職時期は何月?理由や判断するポイントについて紹介』についても併せてご参照ください。
一般的に求人数が少ないとされている時期に転職活動を行なう際のコツについても触れていますので、是非最後までお付き合いください。
転職活動に向いている時期はいつなのか
少しでも自分の理想に近い職場に就職するためには、当然のことながら採用される可能性が高い時期に転職活動を行ないたいもの。つまり①採用人数が多い時期、➁年度の始めや節目のタイミングとなる時期、③企業に欠員が出やすい時期などが狙い目となります。
年度の切り替えに合わせるなら2~3月から
4月からの新年度スタートに向け、各企業で多くの職員を募集しはじめるのが2~3月。求人数が多くなるため、自身の希望に合った就職先を探しやすいのがこの時期です。新卒職員の入社も多い4月は他の時期と比べて教育・指導体制が整っており、同期職員も多いため仕事や環境に慣れやすいといったメリットがあります。
一方、就職活動・転職活動を始める人が多くなるのもこの時期。人気の企業は採用倍率が高くなりやすくなるという点には注意が必要です。
下半期のスタートに合わせるなら8~9月から
下半期がはじまるのは10月。1年の半分が過ぎて経営指針のブラッシュアップや新たなプロジェクトのスタートなど、上半期とは違った試みを始める企業も多く存在します。そのため8~9月から新たな人材確保のため求人が出されやすくなる傾向があります。
この時期に出される求人の特徴は、ある程度即戦力となる人材が求められるケースが多いということ。そのため採用されれば入職して日が浅くても責任のある役職やプロジェクトチームのメンバーなど、重要なポジションに抜擢されることも多いでしょう。一方で、4月入社と比べると十分な教育・指導を受けにくく即実践で結果を求められるケースも多々あるため、これまでと違う分野の仕事を検討している場合であれば相応の準備が必要となるかもしれません。
競合相手が少ない時期を狙うなら5月から
2~3月、8~9月と比べると求人募集の数自体は少なくなりますが、5月から転職活動を始めるというのも選択肢としては悪くありません。4月から新年度がスタートしたものの企業方針に修正が必要だったり双方のミスマッチから短期間で離職者が現れたりと言った理由から、5月前後から改めて求人募集を行なう企業も実は毎年相当数存在します。2~3月の時期は求人倍率が高くとても就職は出来そうもないと諦めていた企業が5月になったら再度求人を出しており、倍率もそれほど高くなかったため比較的容易に就職することができた、といった話もあります。
ライバルが少ない時期に転職活動をしたいと考えている人にとって5月は狙い目とも言えます。特に新卒者や第二新卒者の方であれば8~9月に転職活動を行なうよりも自身に合った就職先が見つかるかもしれません。とはいえ狙った求人が出るとは限らないため期待のし過ぎは厳禁。転職活動に費やす時間は2〜3月、8〜9月時期よりも長くなる可能性が高いという事も念頭に置いておきましょう。
転職活動に向かない時期はいつなのか
転職活動に向かない時期というのは、①年末時期、②企業ごとの繁忙期、この2つになります。企業側からのニーズが少なくなるこれらの時期は、転職活動も難渋する可能性があるため注意が必要です。また、この時期は仕事の説明や指導に充てる時間を確保するのが難しくなる企業も多いため、入職後も簡易的なオリエンテーションと説明のみですぐに実践的な業務を行なわなくてはいけない、といったケースも少なくありません。
11〜12月は忙しく採用人事どころではない企業が多い
年末時期というのは採用人事に関わる社員が年末調整に追われるため、積極的に求人募集をする企業は少なくなります。部署内でも年度末を見据えて1年間の企業データをまとめたり年間の反省点を洗い出したり‥とても新人職員の指導をしている時間的余裕がないといった本音もよく聞かれます。企業側も多忙になりやすい年末時期は避けた方がスムーズに転職活動を進められるでしょう。
企業の繁忙期はさらに求人数が少なくなる傾向が強い
年末期同様、企業が忙しくなる繁忙期も転職活動を行うには不向きな時期と言えます。繁忙期は企業の業種・形態によって様々であるため、自分が就職を希望する企業の繁忙期はいつなのか予め把握しておきましょう。そうすることで、迂闊にも就職希望の企業が忙しい時に積極的なアプローチを行い顰蹙を買ってしまう、というようなミスも防ぐことができます。
転職活動に不向きな時期での立ち回り方
人間関係や家庭の事情、その他様々な理由から転職活動に不向きな時期でも就職先を探さなくてはいけないといった状況にいる方も少なくないのではないかと思います。そこでここからは、敢えて転職に不向きな時期に転職活動を始めなくてはいけない場合に少しでも有利に立ち回れるコツを、採用者側視点からの意見も交えながらお話していきたいと思います。
就職を希望する企業について徹底的にリサーチする
自身が働きたいと思っている企業についてしっかり下調べをするというのは基本的なことであるとともに非常に重要なことでもあります。求人数が少ない時期に転職活動を始めると、魅力的な求人があれば他の人に枠を取られる前にと慌てて飛びついてしまいがち。もちろん悠長に構え過ぎては機を逃してしまいますが、焦って詳しい下調べをせず求人に応募してしまうと面接等でぼろが出やすくなります。
採用者側は面接時、そういった空気を敏感に察知し想像してしまうのです。この求職者はとにかく焦って仕事を探している、冷静さが足りない人材なのかもしれないです。
就職を希望する企業の都合を優先した上でアプローチする
とりわけ年末期やその企業の繁忙期であれば、1分1秒の時間が惜しいものです。働きたいという熱意を全面に出しアピールすることは大切なことですが、このような時期は押しの強さより企業側の都合にしっかりと配慮するという姿勢を示すことが重要。タイミングによっては、熱意をアピールしていたつもりなのに採用者側からは他者の都合に配慮できない利己的な人間と見られてしまうこともあります。
自分に対応してもらうという事は、仕事の手を止め貴重な業務時間を自分のために割いてくれているということ。まずはそのことに最大限感謝しているということを丁寧に伝えましょう。気持ちのこもったその言葉は、採用者の心に響くはずです。
転職活動に時間がかかる想定で行動する
なかなか希望する求人案件が出ず、不安な気持ちになる事も多いのがこの時期の転職活動。ただ、あらかじめ転職活動に時間がかかるということを想定して落ち着いて立ち回ることが大切です。早く就職先を決めたい気持ちが先走り求人に応募してみたものの入職してみたら自分に合った職場ではなかったということになってしまえば、また離職し転職活動を始めなくてはいけません。
こういったミスマッチを避けるためにも、本当に自分が希望する求人案件が出るまで粘り強く転職活動を続ける強い精神力を持つという事が必要になります。
本記事のまとめとして
多くの求人案件を選択肢としたいのであれば2〜3月と8〜9月、競合相手を避けて転職活動を行なうのであれば5月が最も転職活動を始めるのに向いており、年末期や繁忙期は転職活動には不向きとされています。もちろん、年末期や繁忙期に必ずしも転職活動が難渋するとは限りません。ただ、求職者の方は1秒でも早く新しい就職先を見つけたいと思っているはずです。そのためには少しでも自分の転職活動に有利な時期を選ぶ必要があると、筆者は考えています。

就職先が決まりにくいとされている時期に転職活動を行なう必要がある場合は、とにかく焦らず企業側の都合に合わせて丁寧にアプローチしていきましょう。筆者が採用者側として働いていた際にこの時期の求職者の方に感じた印象としては、焦って転職活動を行なうあまり企業側への配慮がやや欠けてしまうケースが少なくないということ。逆に言えば、この時期気持ちにゆとりを持ってしっかりと企業側への配慮が出来る求職者の方は印象に残りやすく、採用に値する人間性を備えていると判断される可能性が高くなるのです。
本記事では、転職活動に向いている時期とそうではない時期についてお話させて頂きました。こういった知識を頭の片隅に置きながら転職活動をスタートさせる事で、あなたが理想とする就職先に巡り合い、就職できる可能性が高まるかも知れません。この記事があなたの転職活動の一助になれば幸いです。