未経験でSEになりたいと思っている人の中には、「難しいからやめておけ」といったネットの評判を見て、躊躇している人もいるのではないでしょうか。結論から言うと、未経験でもSEになることは可能です。しかし、何の準備もなくSEになれるというわけではありません。
SEとして成功し、必要なスキルを身につけるためには、技術的な知識や経験、ビジネス知識、ソフトスキルといった要素を考慮することが非常に重要です。SEになるという成果を出すためには、それぞれのスキルを身につけることが必要なのです。技術的なスキルを磨くために、オンラインクラスや短期コースを受講し始める人もいるでしょう。
この記事では、未経験からSEになるために必要なことをまとめました。正しい準備で、憧れのシステムエンジニアへの道を歩んでください。
本当に未経験からSEに転職できるのか?
ここからは未経験でも本当にSEに転職できるのかについて詳しく解説していきます。
未経験の人でも採用してもらえる会社が増えている
IT人材不足の影響を受け、未経験のSEを募集する企業が増えています。社会人経験があり、学校などで情報工学などを学んだ人であれば、誰でも応募することができます。IT技術の進歩により、SEの需要は高まっていますが、経験者はまだまだ不足しています。
企業は経験者を求める一方で、採用コストの安い未経験者を採用し、現場で教育するという別の方法で人手不足を解消しようとしています。企業にとっては、未経験者を迅速かつ効率的に社内で教育できるため、一定の費用対効果が得られるというメリットがあるでしょう。
そのため、未経験者がIT業界に参入し、新しい技術を習得し、貴重な経験を積む機会が数多く存在しています。また、IT業界への参入やSEとしてのキャリアアップを目指す多くの学生や新卒者にとっても、有利な条件となっています。
転職しやすい年齢は20代前半まで
どの職種にも言えることですが、20代前半までは未経験からの転職がしやすいと言えます。20代前半以下であれば、企業がポテンシャルで採用の可否を決める「ポテンシャル採用」の対象となるため、未経験からSEに転職できる確率が高くなります。特に高度な技術系の学位を持っている人は、SEの世界では需要が高いので、その傾向が強いと言えます。
技術系の学位を持っていなくても、必要なスキルを身につけるために時間を投資すれば、未経験からSEに転職するチャンスはあります。30代以上(企業によっては20代後半以上)の場合、即戦力採用の対象となるため、未経験からSEへの転職は難しくなります。しかし、ソフトウェア開発の現場で数年働き、専門性を発揮していれば、より転職しやすくなる可能性があります。
また、プロジェクト管理、コミュニケーション、問題解決など、ソフトウェア開発に役立つ他のスキルを雇用主が評価する場合もありますので、それらの分野で実力を発揮できれば、経験不足を十分に補うことができるかもしれません。
SEの経験がなくても基礎知識があると業務にスムーズに入れる
未経験でSEに転職する場合、業務知識を持っていると有利です。SEは様々な業界のシステム開発を担当するため、前職が同じジャンルのビジネスであれば、業務知識を活かせる可能性があります。金融や経済の専門知識、データ分析能力、あるいは特定の企業のプロセスに対する深い理解などです。このような過去の知識はすべてSEの仕事に応用でき、あなたの強みになるはずです。
例えば、金融業界で働いていて業務知識があれば、未経験でSEになったときに金融業界について一から勉強する必要はありません。より良いシステムを考案したり、より批判的にデータを分析したりと、基本的にはこれまでの業界経験を活かして、自分の足元を固めることができるのです。
他業種でのリーダーやコンサル経験があると有利
未経験の場合は、特にコンサルティングやチームリーダーの経験があると有利です。SEはプログラミングの知識も必要ですが、それと同じくらい論理的思考力やコミュニケーション能力も必要です。技術的な能力は教育やOJTで鍛えることができますが、プログラマーが本当にSEとして活躍するためには、短期間では身につきにくいコミュニケーション能力や問題解決能力を養うことにも力を入れる必要があります。
そのため、他分野や他職種からソフトウェアエンジニアリング業界へ転職する際には、顧客との協働経験やチームリーダーとしての経験がある人が有利になる傾向があります。
コミュニケーション能力や論理的思考力があると◯
コンサルタントやチームリーダーの経験がなくても、もともと論理的思考力やコミュニケーション能力があれば、転職に有利に働くはずです。例えば、クライアントが “社員の出社・退社時間を簡単に管理したい “と考えているとします。批判的・客観的に考えることができれば、最初にクライアントの要望を理解するだけでなく、根本的に解決しなければならない問題を見出すことができます。
表面的な問題にとらわれず、隠れた問題を発見する方法を知っていることは、意思決定やより良い解決策を策定する際に大きな強みとなります。論理的な思考ができ、クライアントやプロジェクトメンバーと適切なコミュニケーションが取れる人は、クライアントのニーズを明確にし、問題解決を正しく進めるために必要な情報を得ることができるため、転職の際に有利になる可能性が高いです。
未経験者におすすめなプログラミング言語
ここでは未経験者におすすめなプログラミング言語について紹介していきます。
何も勉強内容が決まっていないのであれば「Java」がおすすめ
転職したい企業や業種が明確でない場合は、多くの職場で使われている王道の「Java」から勉強を始めることをおすすめします。このオブジェクト指向言語は、シンプルな構文で、開発者が素早く簡単にアプリケーションを構築することができます。そのため、Javaはさまざまな業務システムに対応でき、マルチプラットフォームが必要な企業には最適な言語です。
さらに、互換性の問題を回避するために、ユーザーが持つあらゆるハードウェア構成で最適に動作するように特別に設計されています。王道トレンドの言語を習得するだけで、SEとしての市場価値が高まります。また、JavaScriptやPythonなど、王道言語の多くは構文が似ているため、Java愛好家にとっては他の言語を短期間で習得することが可能です。
Javaが難しいと感じたらHTMLやCSSといった易しい言語から始める
とはいえ、Javaは学ぶのが最も難しいプログラミング言語の1つです。Javaに挑戦して、何をやっているのかさっぱりわからない場合は、HTML、CSS、JavaScriptなどから始めるという選択肢もあります。これらは初心者が学びやすいだけでなく、需要の高いWeb系言語なので、こちらもおすすめです。
Javaは理解するのに時間がかかるのは事実ですが、技術的なバックグラウンドに関係なく、誰でも献身的かつ忍耐強く取り組めば、Javaを習得することができるということです。さらに、書籍やチュートリアルなど、学習プロセスを支援するサービスもありますし、経験豊富なプログラマーのコミュニティでサポートを受けることも可能です。
未経験者がSE転職に失敗しないためのポイント
ここからは未経験者がSE転職に失敗しないためのポイントについて解説していきます。
勉強に多くの時間をかけない
「SEになるために勉強しよう」と決めたはいいものの、あれもこれもと時間をかけてしまう方もいらっしゃるでしょう。勉強に時間をかけすぎてしまうと、転職のチャンスを逃してしまうかもしれません。プログラミングや論理的思考力を身につけることは大切ですが、SEへの転職が最終目的であれば、勉強が目的になってはいけません。ゼロから始める人にとっては、必要なスキルを全て習得するのは時間がかかるため、大変な作業となります。また、変化の激しいテクノロジー業界に対応するため、実績のあるSEは常に学習し、成長しているため、自分のスキルセットを継続的に向上・拡大させることが重要です。
勉強に取り組む最良の方法は、組織的かつ戦略的な計画です。勉強に時間を費やすことは重要ですが、きちんとした目標を設定することが大切です。この目標は、個人のタイムラインとスキルレベルに合わせて調整する必要があります。また、リソースは慎重に選ぶべきで、最も認定され体系化されたコースワークや教材を事前にリサーチしておく必要があります。そうすることで、最も有用な教材やレッスンを学ぶことができ、長い目で見れば時間と労力を節約することができます。
例えば、資格取得と同時に転職を目指すのであれば、「4月から勉強して10月に受験、資格取得、来年3月までに転職」というように、目標から逆算して勉強すると効率的です。計画性と現実的な期待値を持つことが大切です。また、SEの分野を理解することが最も重要であり、転職活動を始める前に業界研究をしておく必要があります。どのような職種があるのか、どのような役割があるのか、どのような転職市場があるのかなど、理解を深めておくとよいでしょう。
研修をしっかりと行ってくれる会社を選ぶ
ブラック企業に入ってしまう可能性もゼロではありません。未経験の方にとっては、SEがどのような仕事をしているのか、身をもって体験してみたいのではないでしょうか。また、会社の雰囲気に慣れるためにも、「いきなり現場で仕事」というのは避けたいところです。そのため、研修制度がある会社を選ぶことをおすすめします。どのような研修が行われているかは、転職サイトの求人情報に掲載されていることが多いです。
研修の方法は企業によって異なりますが、例えばバーチャル研修やグループでのプレゼンテーションなどが記載されています。ここで重要なのは、たとえ社内にトレーニングプログラムがあったとしても、経験豊富なプロフェッショナルが行うトレーニングには及ばないということです。会社の予算によっては、トレーニング期間中に個別に指導や支援を行うコンサルタントを雇うことも可能であり、従業員の成功率を高めることができるため、貴重な投資となるでしょう。
会社との摺り合わせは確実に行う
未経験からSEへの転職で最も多いケースは、希望と実態のミスマッチです。具体的には、「Web制作のSEとして転職したかったのに、実際は業務システムだった」「会社の雰囲気についていけない」などのケースがあります。その原因は、採用面接でのコミュニケーション不足や、転職先の企業について事前に深く調べていないことが考えられます。
二度とこのような状況に陥らないためには、応募前の準備を徹底し、企業研究を綿密に行うことが大切です。そうすることで、企業の期待を理解し、自分の期待に沿うようにすることができます。
まとめ
今回は、未経験からのSE転職に興味がある方のために、未経験からの転職難易度、仕事内容、年収、必要なスキル、実際に転職するための方法などを紹介しました。IT人材の需要は今後も確実に増えていくので、転職を考えている方は今が行動のチャンスです。転職希望者の経験をさらに高めるためには、業界への理解を深め、質の高い応募書類や履歴書を作成し、転職に役立つ人脈を構築することが大切です。
また、未経験者は、ワークショップやセミナーなどの研修でスキルを磨くとともに、新卒者向けの特別な就職支援プログラムに参加することも必要です。また、転職サイトや業界団体、合同企業説明会などを活用することも有効です。今回ご紹介した内容を活用すれば、未経験からの転職をより成功させやすくなりますので、ぜひ勉強や転職活動に活かしてください。