SEが行う「要件定義」や「設計」の経験は、他職種でも生かしやすいため、転職しやすい傾向にあるようです。転職サイトによると、エンジニア(IT・通信系)の有効求人倍率は約10倍で、求職者1人に対して求人が10件近くある「売り手市場」となっています。なお、比較的転職しやすい分野だからといって、すべての転職が波乱万丈になるとは限りません。
SEが他の職種に転職しようとする場合、楽観的な考えで飛び込むと不利になることがあるので、注意が必要です。今回は、そんなSEが転職する際の失敗例やおすすめの業種などについて解説していきます。
SEが転職を失敗する主な例
ここではSEが転職を失敗する主な例について詳しく解説していきます。
スキルが伴っていないうちに転職を決めた
十分なスキルを身につけずに転職を決め、後で後悔するケースもあります。自分の能力を過大評価し、市場価値を見誤ると、再就職できない可能性が高くなります。ですから、転職する前に、その会社が必要とする適切なスキルを身につけることが大切です。どのような職務に応募すべきかを判断するために、まずは自分自身を見つめ直し、リサーチすることをお勧めします。自分がすでに持っているスキルをリストアップし、それが求人情報とどのようにマッチするかを確認することを検討してください。
また、キャリアカウンセラーに相談するなどして、自分に合った職業を探すのもよいでしょう。また、現在の求人市場の要件を常に把握しておくことも重要です。いずれにせよ、転職を希望するのであれば、企業が求めるスキルを身につけているか、スキルは不十分でも若くて伸びしろがあるか、が重要であることを忘れてはいけません。仕事探しを成功させるには、献身的な努力と努力が必要であることを心に留めておいてください。
誰にも相談することなく転職を進めた
誰にも相談せずに転職先を決めてしまうことも、失敗の原因になります。情報に基づかない判断やストレスの感情は、不用意な決断を招き、結果的に転職を失敗させることになります。特に、ハローワークや転職サイトなどの求人情報を検索するという従来のやり方をとると、この作業が大変だと感じるかもしれません。
大量の求人情報を検索するために大量の時間とエネルギーを費やすことは、かなりの負担になります。ストレスを軽減し、今のエネルギーを集中させるために、転職エージェントの力を借りることを検討してみてはいかがでしょうか。
転職を後回しにしてしまった
転職を先延ばしにすると、年齢が上がってからの転職の難易度が上がる可能性があります。新しい仕事への転職は、新しいスキルを身につけ、新しい役割をマスターしなければならないだけでなく、給与やその他の待遇のハードルも高いため、非常に気が重くなることでしょう。転職が長引けば長引くほど、より困難な状況に陥る可能性が高いことを覚えておきましょう。
無計画な転職はよくありませんが、転職を先延ばしにして状況を悪化させることは避けたいものです。SEも30代くらいになると、求められるスキルが高くなり、以前よりも経験や技術力が求められるようになります。また、結婚や出産など人生の節目も大きくなり、地域や会社、業界を変えて再出発することが難しくなります。
「いつかやろう」と転職を先延ばしにするのではなく、キャリアにマンネリ化し、成長するための選択肢がなくなってしまうことのないよう、転職活動を始めることが大切です。
転職する目的を決めることなく仕事を決めた
転職の目的が明確でない場合、転職した職場をすぐに辞めたくなることがあります。しかし、衝動的な退職の決断は、職場における燃え尽き症候群を引き起こし、プロフェッショナルとしての成長の見通しが立たないまま転職を繰り返すことになりかねません。一度立ち止まって、自分がキャリアに何を求めているのか、そこに到達するために必要なステップは何かを考えてみるのが一番です。
やりたいことを明確にすることで、適職とのマッチングを図り、時間とエネルギーを無駄にしないようにしましょう。
SEの転職におすすめな職種
ここからはSEの転職におすすめな職種について解説していきます。
事務職
事務職は求人倍率が0.24%と転職しにくい人気職種ですが、SEのパソコンスキルが活かせる仕事です。データ入力、文書作成、資料作成、自社ホームページの運営やIT担当など、パソコンを使う機会が多くあります。さらに、事務職には、会社の情報を整理・管理したり、必要に応じて接客をしたりする仕事も多くあります。
このような仕事は、デジタルリテラシーのスキルを磨くだけでなく、創造性や問題解決能力も試され、キャリアを重ねるごとにそのスキルが伸びる可能性があります。また、年収はSEに比べると低いですが、残業が少なく定時で帰れることが多いので、長時間労働でストレスを感じていた方に向いています。事務職が提供する数多くの利点を考えると、転職を希望する人々の間で人気のある選択肢であり続けることは驚くことではありません。
営業職
SE時代に顧客とのやり取りが得意だった方は、コミュニケーション能力を生かした営業職がおすすめです。自動車、保険、金融など様々な商品・サービスがあり、SE時代に培ったコミュニケーション能力はどの分野でも活かせます。さらに、現在の経済情勢を考えると、豊富な商品知識で経験の浅い他の候補者よりも有利になる可能性もあります。
特に、接客の経験があれば、営業系の仕事にも応用できます。また、これまでの経験をできるだけ生かしたいという方には、IT機器販売などの営業職がおすすめです。IT機器販売は、他の業種に関連する製品を販売するよりも専門性が高いため、志望動機にプラスアルファの効果が期待できるかもしれません。
また、IT製品は常に更新され進化しているため、あなたの創造力や問題解決能力が活かせる分野でもあります。
製造職
製造業であれば、設計やプログラミングの経験を存分に生かすことができます。自動車業界や電機業界では、ITは欠かせない存在です。製造工程管理、外注先への発注管理、生産量の管理など、大量のデータを管理するためにITが活用されているからです。製造業におけるITの活用は、多くの工程を自動化することでヒューマンエラーを減らし、生産サイクルの最適化、管理・監督の効率化を可能にします。
もちろん、これらの工程は効率的であるため、業界全体の生産量を増加させ、結果として製品の品質を向上させることができます。また、多くの製造業には労働組合があり、労働時間は守られ、残業は少なく、福利厚生も充実しているでしょう。メーカーでのITマネジメントは、キャリアアップにはつながりませんが、ワークライフバランスを第一に考えたい人には向いています。
金融業
地方銀行、証券会社、メガバンクなどでも、IT経験者向けの求人があります。AI(人工知能)を使った資産管理、社内メールシステム、決算システム、テレビ会議、生体認証、顧客データ追跡のためのWeb基盤などを自社開発している企業では、設計・開発・運用サービスも行っています。年収を下げたくない場合は、外資系金融企業への転職がおすすめです。
というのも、日系企業と比較すると、外資系企業は給与水準が2~3割ほど高いからです。また、外資系企業はターゲットとする市場によって、特定の語学力を要求されることが多いです。例えば、海外の潜在顧客を取り込むために、英語、中国語、スペイン語、ポルトガル語、ドイツ語などの語学力が必要とされることがあります。
さらに、たとえ数年の経験しかなくても、これらの企業では通常、言葉の壁を補うために手厚いボーナス制度や報奨金が用意されています。40代であれば、外資系金融会社に転職して1,500万円以上稼ぐことも不可能ではありません。
医療業界
医療業界では、電子カルテによる患者情報の管理が進んでおり、この業界への転職は大きな選択肢となっています。その際、院内SEとして働くか、医療系システムを開発する企業に転職するかの2つの選択肢があります。医療系システム開発会社は24時間体制で対応する必要がありますが、システムの保守・管理が主な業務である院内SEは残業が少ないという利点があります。
勤務時間の短縮が期待できるほか、どちらも人命救助を行うことで人々に貢献する仕事なので、人の役に立つことにやりがいを感じられる人に向いています。しかし、医療SEの仕事はストレスが多く、人の命を預かるという責任感から、より大きな不安を感じる人もいます。また、危機的な状況に陥ったとき、医療従事者はより大きなプレッシャーを感じながら支援にあたることになるので注意しましょう。
まとめ
SEの転職の失敗例として、「転職を後回しにする」「誰にも頼らず転職する」「スキルが十分でないうちに転職を決める」「転職の目的を決めずに転職する」の4つが挙げられます。また、SEにおすすめの転職先として、「事務職」「営業職」「製造業」「金融業界・医療業界」の4つを紹介しました。転職に失敗しないためには、成功者に話を聞いたり、転職エージェントなどの専門家に相談したりと、情報収集をすることが大切です。
また、現在の仕事と将来の仕事についてよく考え、転職市場の動向、給与、仕事のやりがい、必要なスキルや経験などを調べ、プロセスに含めることが大切です。自分自身の目標を理解し、前進するための計画を立てる際に機敏であることが最も重要なステップとなります。もしSE以外の転職を希望する場合は、転職エージェントなどに登録することをおすすめします。