システムエンジニア(SE)の中には、キャリアアップのために転職を考えている人も多いのではないでしょうか。今回は、SEにおすすめのキャリアパスを「同業種でのSE転職」「SE以外のIT業界への転職」「IT業界とは異なる業界・職種への転職」の3つのカテゴリーに分けて詳しく解説します。
SEのまま転職するケース
ここではSEのまま転職するケースについて紹介していきます。
社内SE
社内SEの主な仕事は、社内のパソコンやIT機器の設定・管理、社内システムの管理・運用、業務システムの内製化などの開発業務、外部システムの導入やITツールによる業務効率化などの専門的な管理業務などです。一般的に社内SEは、パソコンやネットワークの設定・管理・トラブルシューティング、システムの安全・セキュリティ確保、社内向けの新機軸システム開発など、パソコンや社内インフラを幅広くサポートします。
また、外部システムの導入や既存システムの調整を行い、業務の効率化を図ることもあります。SIerとは異なり、SEはクライアントと接する機会が少なく、仕事のコントロールがしやすいのが特徴です。そのため、定時勤務が可能で、厳しい納期へのプレッシャーもありません。さらに、社内SEは創造的で、積極的に考え、ビジネスのための新しい最先端のプロジェクトに取り組む時間を持つことができます。また、自分の興味のあるテーマに特化し、既存システムのパフォーマンス監視や開発、新しい技術の開発に多くの時間を割くことができます。
Sler
SIerのSEとして働いている場合、会社の規模を変えるというパターンもあります。現在、中小のSIerでSEとして働いていて、社内評価に不満がある場合は、より上流工程を担当できる大手のSIerに転職してみるのもよいでしょう。1,000人以上の規模の企業では、大きなプロジェクトの上流工程に携わることが多く、社内評価制度も確立されているので、仕事の成果が給与などの形で還元されます。大手SIerの主な仕事はプロジェクトマネジメントであり、開発・設計・要件定義にはそれほど関与しません。
とはいえ、大企業の中には、競合他社に差をつけるため、また、労働者の回転を早くしてプロジェクトを早く終わらせるために、それらの業務を中小企業や専門のコンサルタントに外注しているところもあるようです。また、大企業で働くと、より幅広い業務に携わることができ、上層部と人脈を築く機会も増えるため、スキルアップや職業経験の幅を広げることができます。ただし、会社の規模が大きすぎると、下請け企業のマネジメントがメインになる可能性があることに注意が必要です。
大手SIerの仕事は、プロジェクト管理や進捗管理が中心となることが多いため、ルール作りやスケジュール管理が得意な人に向いています。さらに、大企業のプロジェクトは、大企業の中の部門や部署も巻き込んでいることが多いので、リーダーとして同僚や仲間を成功に導く能力が求められます。キャリアアップを目指し、大規模なプロジェクトに携わりたい人には特におすすめです。
他のITの業種へ転職するケース
ここからは他のITの業種へ転職するケースについて解説していきます。
Webエンジニア
Webエンジニアとは、WebサービスやECサイト、SNS、ソーシャルゲーム、スマートフォンアプリなどを開発・運営する企業で、システム開発に携わるエンジニアのことを指します。クライアントから仕事を受けるのではなく、自社でシステムの企画・開発・運用を主体的に行うのが特徴です。高度なプログラミングスキルが求められるため、コードを書くことが得意な人が向いている仕事です。
また、Webエンジニアはスピード重視であり、短納期を守ることが課題となることもあります。それを補うために、時間内に期待通りの水準でタスクを完了させるための品質管理・進捗管理が欠かせません。この分野の経験があれば、大きなアドバンテージになるでしょう。また、Webエンジニアの環境下で働くということは、最新の技術に触れ、常に時代の最先端を行くことができます。
技術力だけでなく、創造力や意欲も求められるので、スキルアップに熱心な人には特に向いている仕事といえるでしょう。
Slerの営業
対人コミュニケーションの経験やスキルを身につけたいのであれば、SIerの営業職への転職も可能です。この場合、顧客と直接交渉する必要があるため、営業には顧客のニーズを把握するだけでなく、顧客と強い関係を構築する能力が求められます。そのため、お客様を説得するための強いコミュニケーション能力と、お客様の期待を汲み取る力が求められます。
また、お客様に共感し、効果的なアドバイスができる営業マンは大きな武器になります。顧客と直接交渉する必要があるため、対人コミュニケーションに長け、プレゼンテーション能力の高い人に向いている仕事です。また、困難な顧客にも辛抱強く対応できる営業マンは、効果的なコミュニケーション・トレーニングや実践的な経験によって培われる能力といえるでしょう。
ITコンサルタントやセールスエンジニア
セールスエンジニアとITコンサルタントの主な仕事は、ヒアリングなどを通じてお客様の状況を把握し、業務効率化などの課題解決に向けた方法を提案することです。セールスエンジニアは受注前に提案するのに対し、ITコンサルタントは受注後に提案するという違いがあります。SEとして、特に上流工程を経験していれば、経験値で差別化できる。セールスエンジニアは、大海原を航海する航海士に例えることができます。
出航前にじっくりと地形を把握し、先々の計画を立てておく必要があります。そして、航海の途中で生じる紆余曲折を予測し、クライアントに最適なソリューションを提供し、航路を確保する必要があるのです。一方、ITコンサルタントは、クライアントの延長線上にいるようなもので、発注後、最適なソリューションを決定するために奔走する必要がある。特にITコンサルタントは、その場しのぎで行動し、場合によっては常識にとらわれない発想で、実行可能な解決策を導き出すことが求められるので、厄介な存在と言えるでしょう。
どちらの役割も、クライアントが常に満足し、ニーズを満たせるようにするための重要な鍵であることを忘れてはいけません。
別の業種や職種に転職するケース
ここでは別の業種や職種に転職するケースについて紹介していきます。
SEの経験が活かしやすい業種
Web業界だけでなく、メーカーに転職した場合など、製造業でもマネジメントスキルを生かすことができます。例えば、メーカーであれば、サプライチェーンマネジメントや在庫管理といった分野でマネジメントスキルを生かすことができます。ベンダーや顧客と協力し、シームレスな生産・納品プロセスを実現することも、同じマネジメントスキルの応用として有効でしょう。
問題点を分析し、適切なデータに基づいて解決策を講じる能力は、製造業で優れた能力を発揮するのに役立ちます。また、コンサルティング業界では、SEとしてのシステム知識やコミュニケーション能力が、顧客との交渉などの場面で役に立ちます。コンサルティングの仕事は、従来、確立された方針や指針を吟味し、その影響を評価しながら意思決定を行うことが必要でした。
重要な意思決定の意味を理解することは、提案や戦略を成功させ、十分な情報を得た上で意思決定を行うことにつながります。また、情報技術やシステム開発の知識があれば、顧客との交渉において信頼性を高めることができるかもしれません。
SEの経験が活かしやすい職種
同様に、SEとしてのスキルをSE以外の職種に生かすことも可能です。営業職であれば、クライアントワークで培ったコミュニケーション能力を、事務職であれば、一般的なパソコンスキルを活かすことができます。また、研修や経験を積めば、Webサイト運営や社内SEなど、より専門的な職種に就くことも可能です。
また、企業や政府のネットワークに関する知識を活かして、従来のソフトウェア・エンジニアリングのキャリアパス以外のIT関連のポジションに就くこともできます。システムセキュリティや情報セキュリティなど、基本的なスキルだけでなく、より高度なスキルを身につけることで、これらの専門的なスキルを持つ人材を求める企業への就職機会も広がります。ソフトウェア・エンジニアリングで身につけたITの基礎知識は、ほとんどの場合、あらゆる業界のさまざまな職種で活用することができます。
ほとんどの企業が自社でWebサイトやネットワークなどのシステムを運用しているため、SEのような経験豊富なIT専門家は常に需要が高く、就職活動において貴重な知見を得ることができます。
まとめ
人手不足の昨今、SEのスキルや経験は他の職種や業界でも求められているため、転職の目的を明確にすることで、希望に沿った転職が成功する可能性が高くなります。現在、SEを経験して転職するかどうか迷っている方は、ぜひ他の職種も視野に入れながら転職活動をしてみてください。様々な視点や経験で、世界は豊かに上昇することができます。
転職を考えているのであれば、まずは調べることが一番です。就職先を探しているのであれば、自分が興味のある場所に拠点を置く、成功した企業をリサーチしてみましょう。